認知症外来
ご自身、
またはご家族の方で
認知症が気になる皆さまへ

認知症とは記憶や判断力が失われていく病気です。日本では75歳以上で5人に1人、85歳以上で4人に1人が発症しています。高齢化が進む中、20年後には現在の2倍近くになると予想されています。
また、現在認知症にかかっておられる患者さまも、もの忘れに対する不安、気分の落ち込みといった気持ちの変化や、不眠などの生活習慣の変調、怒りっぽさや性格の変化など、さまざまな症状に悩むことがあります。
認知症は病状の進行や症状の現れ方によって、治療の組立てを適切に行う必要があります。ご本人、ご家族にかかる負担を少しでも減らすために、当外来をぜひご利用ください。
予約制になりますので、受診される方はお電話にて事前のご予約をお願いいたします。
こんな症状でお悩みではないですか?
- 同じことを何度も尋ねたり、話したりする
- 最近の出来事を思い出せないことが増えてきた
- 財布や鍵などの物の置き場所がわからなくなる
- 曜日や時間、場所の感覚があいまいになる
- 慣れた道でも迷ってしまうことがある
- 計算やお金の管理にミスが増えた
- 以前より怒りっぽくなったり、性格が変わったと感じる
- 家事や身の回りのことに手が回らなくなってきた
認知症のセルフチェック
日常の暮らしの中で、認知症ではないかと思われる言動を、「家族の会」の会員の経験からまとめたものです。医学的な診断基準ではありませんが、暮らしの中での目安として参考にしてください。
いくつか思い当たることがあれば、一度専門家に相談してみることがよいでしょう。
もの忘れがひどい
- 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
- 同じことを何度も言う・問う・する
- しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
- 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
判断・理解力が衰える
- 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
- 新しいことが覚えられない
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容が理解できなくなった
時間・場所がわからない
- 約束の日時や場所を間違えるようになった
- 慣れた道でも迷うことがある
人柄が変わる
- 些細なことで怒りっぽくなった
- 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
- 自分の失敗を人のせいにする
- 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
不安感が強い
- ひとりになると怖がったり寂しがったりする
- 外出時、持ち物を何度も確かめる
- 「頭が変になった」と本人が訴える
意欲がなくなる
- 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
- 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
- ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
脳の神経細胞に「アミロイドβ」などの老廃物(カスのような異常たんぱく質)が蓄積し、神経細胞が徐々に死滅していくことで脳が委縮し、認知機能が低下していく病気です。日本で最も多いタイプの認知症で、物忘れから始まり、次第に判断力や理解力の低下、日常生活への支障が現れるようになります。ゆっくりと進行するのが特徴で、早期に気づき、適切な対応を行うことが大切です。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血、脳動脈硬化などにより脳の神経細胞がダメージを受け、神経のネットワークが壊れることで発症する認知症です。アルツハイマー型認知症に次いで多くみられるタイプで、脳のどの部位に障害が起きたかによって、記憶障害だけでなく、判断力の低下、感情の起伏の変化、運動障害などさまざまな症状があらわれます。段階的に進行することが多く、再発予防や生活習慣の見直しも重要になります。
レビー小体型認知症
脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が広範囲に蓄積することで、神経細胞が徐々に死滅し、脳が委縮していくタイプの認知症です。物忘れに加えて、はっきりとした幻視(実際には存在しない人や物が見える)や注意力の変動、パーキンソン症状(手のふるえ、筋肉のこわばり、歩行障害など)がみられるのが特徴です。症状には波があり、日によって認知機能の変動が大きくなることもあります。
当院で行っている治療内容

認知症の治療は、その種類や原因に応じて「薬物的治療」と「非薬物的治療」を組み合わせて行います。薬物治療では、近年、進行が中程度までの段階であれば一定の効果が期待できる薬剤が登場してきました。ただし、現在のところは認知症そのものを完治させる薬はなく、多くは進行を遅らせたり、症状を和らげたりすることを目的としています。
非薬物的治療としては、生活環境の整備や家族・周囲のサポート、リハビリテーション、認知トレーニングなどがあり、患者さまの生活の質を保ちながら心身の機能低下を予防することが重視されます。このような理由からも、できるだけ早い段階で異変に気づき、適切な治療や支援を受けることが非常に大切です。
認知症と
生理的なもの忘れの違い
| 認知症 | 生理的なもの忘れ |
|---|---|
| もの忘れの自覚がない | もの忘れの自覚がある |
| 体験したすべてを忘れている | 体験の一部を忘れている |
| 最近の出来事の記憶がない | 名前や日付など、とっさに思い出せない |
| 曜日や場所、時間の感覚があいまいになることがある | 基本的な場所や時間の把握はできている |
| 会話・買い物・外出などの日常生活に支障が出ることがある | 生活にはほとんど支障がなく、普段どおりに過ごせる |
| 話がかみ合わない、判断力が低下している | 会話は成り立ち、判断力も保たれていることが多い |
| 徐々に悪化し、症状が進行していく | 年齢に伴う変化で、進行はゆるやか |
| 家族や周囲が「様子が変わった」と感じることが多い | 周囲も「年齢相応の忘れやすさ」と感じることが多い |
認知症外来受診の流れ
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Flow01問診票の記入
当院は初診を含め、予約制です。まずは初診の申込みをお願いいたします。
以下から問診票をダウンロードしていただき、あらかじめ記入した上で初診時にお持ちいただくと受診の流れがスムーズになります。
問診票のダウンロードは
なお、受診時当日の体調などをご記入いただく問診票もございますので、よろしくお願いいたします。
こちら -
Flow02検査
初診時に患者さまとそのご家族(状況をご説明できる方)を含めての問診を行います。
- かかりつけの医院や病院がある場合、診療情報提供をお願いする場合があります。
- 頭部のCT・MRIなどの検査の経験のある方は、コピーをお持ちください。
心理検査他、さらに必要に応じて脳の検査や血液検査なども実施します。
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Flow03診断
認知症なのか、またはどの種類の認知症に該当するかを診断します。
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Flow04治療
診断結果に応じた対応を行います。
- 治療
- 進行防止処置
- 食事・運動・脳トレーニングの指導 など
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Flow05対応方法についての
アドバイス認知症と診断された方に対し、ご家族をはじめ周囲の方々はいかに接してあげるべきか。専門的な見地からアドバイスを行います。